富士山登山ルート3776(3日目・完結)

はじめに


8月下旬にチャレンジした、標高0mの海からスタートする富士登山ルートの記録になります。
1日目は標高0mの海から、1100mのキャンプ場泊。
2日目は標高1100mのキャンプ場から、2500mの山小屋まで歩きました。
今回はその続きです。






富士山3776 3日目

2022年8月31日

4:00 起床

いつもは低山ばかり登っているので、こんなに早く出発するのははじめてです。
しかし、今回登る山は日本一の山「富士山」であることや、長かった富士山3776の最後の目標物ということもあり、気持ちが高まっていたのか、早朝出発が全然苦になりませんでした。

はやる気持ちを抑えて、忘れ物のないようにしっかりと身支度を整えました。




標高の高い山、しかも早朝。さらに天気も悪かったのですが、不思議と寒さはあまり感じられませんでした。

アウトドア用ワイシャツに、モンベル製のゴアテックスのウインドブレーカー。ネックウォーマー。
アウトドア用ズボンに、同じくゴアテックスのレインパンツ。
それでちょうど良いくらいでした。


手袋はアウトドア用の5本指手袋。これは失敗でした。後で悪天候でグショグショに濡らしてしまいます。
前日に泊まった山小屋で出会った登山者の方は、ホームセンターの防水手袋をオススメしていました。登山中に出会った登山ガイドの方も、全く同じホームセンターの防水手袋を使っていたので、富士登山のマストアイテムかもしれません。




4:35 出発(富士宮口六号目)

小雨以上中降り以下のやや悪天候の中を出発しました。
標高の高い富士山は、完全に森林限界を超えていますので、雨を遮るものがなく、悪天候になれば身を守るものは雨具しかありません。

朝食は前日に山小屋の女将さんが用意してくれたお弁当を持っていきました。




遠くの空が、明るくなって来ましたが、登山道はまだ真っ暗です。




幸いなことに、接触不良気味だったヘッドライトがこの日は調子が良かったです。助かりました。予備のソーラーランタンでは手元しか照らせません。

ただ、ヘッドライトがあっても、夜明け前の登山道は道を外してしまいそうです。ロープと矢印で比較的道が分かりやすい富士山でも迷いそうになることがあるので、他の山でのナイトハイクはさらに危険そうですね。




歩いているうちに、徐々に明るくなっていきます。
天気も少しずつ回復傾向にありました。




歩き始めて30分もすると、もうライトも必要ない明るさになりました。
最初のうちは全く登山者に会いませんでした。




5:15 富士宮口新七号目


ちょうど新七号目に着いた時に、日の出の時間となりました。




富士山から見える日の出をカメラに収めます。




確実に雲よりも高い場所にいます。




雲に包まれたり、また晴れたり、不安定な天候の中を前進します。
白い矢印があるので、道は分かり易いです。明るくなればまず道を間違える心配はありません。




標高3000m突破。
この高さまで登ってきたのは初めてですが、一歩一歩歩いてきたので、高山病にかからずにすみました。
ただやはり酸素は薄いかもしれません。平地に比べると息が切れやすいです。




6:25 富士宮口八号目

標高3250m。
ベンチに座って、朝食用のお弁当を食べようとしたのですが、立ち止まっていると寒くなってくるので、からあげとおにぎりを一口食べて、すぐに再出発しました。




確実に頂上に近付いているのが分かります。この辺りから遭遇する登山者も増えてゆきました。ただまだ時間が早かったためか、登りよりも下山中の登山者の方が多かったです。御来光目的の登山者が多いのだと思われます。




鳥居の跡なのか、柱の残骸に小銭がたくさん挟みこまれていました。




7:05 富士宮口九号目

標高3400m。




石垣のようなものが見えて来ました。
これは自然のものではなく、人力で積んだのでしょうか?




7:25 富士宮口九号五尺

標高3550m。
九号目の次が頂上かと思っていたら、9.5号目がありました。




富士山頂上直下にある鳥居。
もうすぐ頂上です。




7:50 富士宮口 頂上

標高3710m。

富士山の富士宮口の頂上に着きました!
意外と平坦で広かったので、驚きました。

しかし、ここはまだ富士宮口ルートの頂上であって、最高峰ではありません。




あの要塞のような所が、最高峰【剣ヶ峰】です。




剣ヶ峰直下の坂は急峻で、風も強く、息を切らしながらゆっくりと登っていきました。




頂上のすぐそばに、建物があります。
これも驚きです。
日本最高峰のすぐそばに建築物。「富士山特別地域 気象観測所」とあります。
ひょっとしてこの建物の屋上の方が標高が高いんじゃないかと、思いました。




8:05 日本最高峰 【剣ヶ峰】 登頂!!

ついに、富士山3776達成です。




富士山の火口。
まだ時間もあるので、富士山のお鉢巡り(頂上一周)をしてから下山しようと思います。




とても美しい景色です。
さすが日本最高峰です。




富士山の火口近くでも、作業員の方が働いていました。
もし火山が噴火したら、とても怖い作業現場ですね。

お鉢巡りをはじめてからすぐに、体調が悪くなって来ました。
登頂したことで、今まで張り詰めていた糸がプツンと切れてしまったようです。クライマーズ・ハイ状態から元に戻った反動で、突然疲労感に襲われてしまいます。

お鉢巡りを3分の1進んだタイミングで、天候も急激に悪化。激しい風雨が叩きつけてきます。雹と雨の間のような大きな滴でした。

雨の中必死に前進します。




写真で見るよりも、はるかに悪天候でした。
そもそも本当の悪天候時は歩くので精一杯で写真を撮る余力もありません。
なのでカメラに写っている場面は、悪天候の波が比較的収まっているタイミングです。

休憩していると寒くなってくるので、5分も休んでいられませんでした。

他の登山者もみな防寒対策はちゃんとしていました。中には半ズボンの方もいましたが、そういう人は屈強な見た目の外国人の方でした。
自分も必要以上に防寒対策は整えたのですが、それでも寒くなってきたので、年齢や体質によっては、低体温症になる人が出てもおかしくないと感じました。




8:50 富士宮口 頂上(下山)


お鉢巡りを終えて、戻って来ました。
後は、元きた富士宮ルートを下山します。




11:50 下山(富士宮口六号目)


体調のすぐれない中、息を切らしながら下山しました。
悪天候の中を登ってくる大勢の登山者とすれ違いました。
やはり人気な山だということが頷けます。

富士山の岩場は、濡れると滑りやすくなるので、下山時は特に注意が必要です。トレッキングポールが大活躍しました。もしこれがなかったら、転んでいたかもしれません。

天気も一瞬晴れ間が出ることはありますが、やはり富士山は天候が変わりやすく、特に午後は荒れるらしいです。

今回は山小屋の女将さんのアドバイスを聞いて、早朝出発をしましたが、それで正解でした。

山小屋に戻ってくると、ちょうど2人の男子大学生のコンビが富士宮駅前までタクシーを呼ぶので、一緒に乗せてもらいなさいと、山小屋の女将さんから勧められました。
バスの便は8月28日で終了だったので、これはありがたいです。
大学生達も、割りカンで支払い金額が減るため、快諾してくれました。まさにWINWINです。

タクシー乗り場は、富士宮口5号目の駐車場です。歩いて15分ほどの距離です。タクシーは1時間後に来るというので、すぐに着替えたり、荷物を整理したりしました。本当にタイミングが良かったと思います。

タクシーも45%割引キャンペーン中で、3人で割りカンすると、1800円でした。これはバス代よりも安いです。

その後は、大学生コンビと一緒に、乗合タクシーで駅まで行き、そこから途中まで電車も一緒でした。

電車は、「吉原駅」で下車。そこからは小一時間ほど歩きました。
富士山とは違い、平地は暑かったです。

汗だくになりながら歩き続け、ようやくスタート地点に戻って来ました。




15:35 ふじのくに田子の浦みなと公園 帰還






公園から海を覗いた一枚。
素晴らしい景色。疲れていたけども、すがすがしかったです。




みなと公園の駐車場まで戻ると、車のフロントワイパーにガムテープで、「17時に駐車場は閉まります」と注意書きが書かれた紙が貼ってありました。
しかしすぐそばに公園ボランティアの男性がいて、「富士山3776の挑戦者でしたか!」と声をかけられました。
どうやらただの長期駐車と誤解されたようです。富士山3776のチャレンジャーはスルーハイクではなく、セクションハイクが一般的なのかもしれません。

そのボランティアの男性も、富士山3776を達成された経験者で、話がはずみました。最後に静岡のお茶ペットボトルを頂きました。

どうもありがとうございます!!




頂いた富士山のお茶

せっかくはるばる静岡県まで遠出してきたので、他にも寄り道したかったのですが、肉体的にも精神的にも疲れていたし、替えの衣服もほとんどなく、登山道具も濡れていたため、この後はどこにも寄ることなく、すぐに群馬県の山小屋に戻りました。






おわりに

今回はタイミングが悪く、悪天候時と重なってしまい、毎日ずぶ濡れになってしまいました。悪天候時の登山は今回がはじめてだったため、その対処に苦労しました。こんなにも大変な目に遭うとは思いませんでした。事前に天気予報は何度も確認していて、yahoo天気やウェザーニュースは雨、登山系天気予報が曇り晴れの予報だったので、強行しましたが、見事に雨天でした…。これからは晴天時にのみ登山しようと思いました。

とはいえ、悪天候ゆえに登山者も少なめで、じっくりと富士登山を楽しむことができました。富士山は少し距離があるので、頻繁には登れませんが、今度は他のルートでも登ってみたいです。

後に届いたバッジと賞状






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