はじめに
群馬県の標高650mのとある山の麓、過疎集落の外れで山小屋暮らしを始めて、1年が経過しました(実際には1年と1ヶ月ではありますが)。
そこで1年間の山小屋暮らしで感じたこと、思ったことやメリット・デメリットについて書いてゆきたいと思います。
様々な小屋暮らし
これから小屋暮らしを始めたいと思っている方にとって、この記事が参考になるかは分かりません。
何故かというと、小屋暮らしは環境に大きく依存するからです。
例えば市街地と山間部、温暖地と寒冷地、周辺施設、就業場所、地方自治体、近所の住民の理解、自己資金などなど、小屋暮らしは周囲の環境によって大きく影響されますので、一口にこの方法がうまくゆくとは言えないものなのです。
そういう意味では小屋暮らしは全てレアケースと言っても良いでしょう。
さらに土地そのものの地目や、区域などによってもできることやできないことが決まってくるので、十把一絡げ(じっぱひとからげ)に小屋暮らしを語ることはできないと思います。
以上のことを前提に、あくまで自分のケースの山小屋暮らし1年の記録を語ってゆきたいと思います。
周辺環境
山小屋があるのは、標高650mの山の麓。約2200坪のやや傾斜地の山林内です。
山小屋の前面が道路ですが、ほとんど交通量がなく、夜は全く車が通りません。一番近くの民家からも500m以上離れているので、かなり静かな空間です。周辺に田んぼや畑があるので、農繁期はトラクターや草刈り機の音がしますが、それでも夜間は風や虫の音しかしません。
交通の便はやや悪いかもしれませんが悪すぎはしません。
スーパーまで片道15km、車で20分くらいです。コンビニは5km圏内にあります。駅もスーパーと同じくらいかかります。
周辺住民
集落にはおおらかな高齢者の方が多いので、それに救われている点が多いです。
例えば、町内会に入っていないけど、ゴミ出しが自由にできたり、駐車スペースに困ったら、「空いてる農地に止めて良いよ」と言われてますし、「何か困ったことがあったら気軽に相談してください」と親切にしてもらえております。
普通であれば突然山林を開拓して、ポツンと一軒家的なことを始めたら不審がられるのが当然だと思うのですが、過疎地域なので人口が増えることを純粋に喜ばれています。
冬の寒さ
標高が高い山暮らしということもあり、1年のシーズンの中で、冬が一番厳しかったです。ピークシーズンでは最低気温はマイナス15度くらいになります。
逆に夏はそこまで大変ではありませんでした。昼間はさすがに熱中症になりそうなほど暑い日もありましたが、夜や朝は涼しくなります。真夏でも毛布一枚で寝た日は数日くらいで、かけ布団を使う日が多かったです。
冬が厳しい理由は寒さもありますが、凍結が最大の問題です。
水道の凍結、そしてそれによる蛇口やシャワー器具などの破損。それ以外にも地面の凍結もあります。地面がカチカチに凍り付いて穴が掘れないのです。真冬にニワトリ小屋の拡張を行い、その基礎作りのために穴を掘ろうとしたのですが、土が凍り付いていてシャベルが全く通りませんでした。仕方ないので地面が掘れるようになる春まで待ちました。
ある意味これが最大の問題です。今でも苦労しています。
山小屋の一年(2020ー2021)
秋・・・山小屋暮らしを始める。インフラ設備は事前に設置済み。
冬・・・ニワトリを飼う。水道凍結に悩まされる。
春・・・冬の間できなかった屋外DIY再開。
夏・・・草刈機購入。屋外では蚊取り線香が大活躍。
秋・・・半年間の職業訓練が終わり、求職活動中。
まとめ
山小屋暮らしを始めて1周年が経過して思ったことは、「小屋暮らしは2年目以降からが本番!」ということです。
山小屋暮らし1年目は色々なことにチャレンジしているので、興味関心が高じ高揚感があり、小屋暮らしハイになっているので、寒さや不便さはそこまで感じませんでした。しかし2年目となると去年の繰り返しになることが多いので、不便さを強く感じることがあります。なので2年以上小屋暮らしを続けている先達は本当にすごいと思います。
山暮らしは向き不向きがあると思いました。
正直お金があったら、二拠点生活をしたいです(笑)。寒い冬は暖かいところで過ごしたいものです。
おわりに
今から700年ほど前に実在した中国の仙人【寒山】は30歳くらいから山に一人篭るようになり、自然物に詩を書くようになったそうです。寒山の死後にそれらの詩がまとめられるのですが、それらの中には、「いずくんぞ知らん松樹の下、膝を抱いて冷しゅうしゅうたらんとは(松の下でひとり膝を抱えて、寒々とした風の音を聞くことになろうとは思いもしなかった)」みたいな少し山暮らしを後悔している詩もあったそうです。本物の仙人でさえ、人恋しくなったり、山を降りたくなるようで、放浪のために捨ててきた妻子に会いに行くけど、本人とは分かってもらえない夢を何度も見るそうです。
ただ今はインターネットや電話、自動車といった最新テクノロジーで下界と簡単につながることができます。だから山小屋暮らしのハードルも昔に比べれば下がっていると思います。
失敗してもダメージがないような、最小限の資金で小屋暮らしを始めてみるのが良いと思います。最初から大金を投資すると、もし合わなかった場合に取り返しのつかないことになります。
人生ダメで元々、気楽に少額からチャレンジされることをオススメします!