ムーミンは、シンプルなデフォルメ絵ですが、
とても美しい線で描かれていたり、ストーリーに風刺が効いていたり、
見やすい構図だったりして、昔から好きな作品の一つです。
ムーミンコミックスは、作者のトーベ・ヤンソンさん自身が新聞掲載のために描いて、のちに弟のラルスさんに引き継がれたものです。
自分もムーミンコミックスの日本語訳版の全巻セットを所有しているのですが、そこに全てのストーリーが載っているわけではなく、今回はそんな日本版コミックス未収録の作品も公開されていました。
ムーミンコミックスを読んで気付いたのは、最後はムーミンママの知恵で問題を解決するという結末が多い事です。
印象深かったのは、「お金を恵まれるのはみんなイヤだけど、散らかった物を片付けるのはみんな好きでしょ」という理由で、処分したいお金を丘の上からバラまくという解決法を行った事です。
また自分が最も好きなストーリーは「黄金のしっぽ」というエピソードです。
日本語版コミックスの第1話「黄金のしっぽ」は、実際の新聞掲載では、18話となり、トーベ・ヤンソンさんが描いた最後の漫画になります。一番よくできたストーリーを、日本版では最初に持ってきたのだと思います。
新聞に毎日掲載ということもあり、長編漫画が数コマずつ描かれていますが、通しでまとめて読んでも、全く違和感のない繋がりとなっています。
さらに新聞印刷のために、金型に漫画が彫られていたことにもびっくりしました。デフォルメ絵だとはいえ、あれを毎日金型に彫った彫り師の方もすごいと思います。
ムーミンコミックスは、キャラクターの全身が親指大くらいに小さく描かれていました。これも金型が関係しているのかもしれませんが、小さいスペースにあれだけ遠近感や躍動感のある絵を描くことにも驚きです。
展覧会には鉛筆画もあればペン画もあり、トーベ・ヤンソンさんや弟のラルス・ヤンソンさんのタッチも見ることができます。
とても見応えのある展覧会だったので、オススメです!