読書感想『空白の5マイル』(小屋暮らし50日目)


「空白の5マイル」とは、チベットの秘境ツアンポー峡谷の5マイルの未探検地帯のこと。

そこを二度に渡って探検した角幡唯介さんの冒険記。

最初は読んでも全然冒険の話が始まらず、先達の探検行の歴史が続いて心配になってしまった。本の半分を過ぎたところで、ようやく実際の探検が始まった。

さすがに、前置きが長い気がした…。


でも、2分の1の分量とはいえ、その冒険の記録はやはり貴重で価値のあるものだと思った。

実際の自然というのは、数年で姿を大きく変えてしまうことがわかった。

数年前は非文明的な生活を送っていた現地の人々が、現在ではみな携帯電話を所持していたり、逆に頼りにしていた村が廃村になっていて、危機に瀕することになったり。

そして、角幡唯介さんは外国人立ち入り禁止地域を無許可で探検したことにより、地元警察で取調べを受けるんだけど、その地元警察の人も人情と責務の狭間で揺れていることが伝わってくる。わざわざ仕事を辞めてこんな山奥まで探検に来てくれたことに感動する一方、職務として厳しく取り調べないといけない、地元警察としての立場。そしてその心情を察することができる、角幡唯介さんも立派だと思った。

この冒険記を読んで、ダニにかまれて全身の肌が真っ赤になって、猛烈な痒さに悩まされたと書かれていて、ああ、自分には冒険は無理だなと思い知らされた。

痛みもいやだけど、痒さは耐えられない。

本表紙


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