みなさん、こんばんは。一城ひとまです。
テレビやネットで、「小屋暮らし」や「山林開拓」が認知され始めるようになってきました。
しかし、それはあくまでも、小屋暮らしの聖地と呼ばれる山梨県や千葉県での話。
自分が山小屋を建てた地域では、小屋暮らしはまだまだ珍しいようです。
引越しの手続きに必要なことは沢山ある。
その中で最も重要なものが、「転出届」と「転入届」。
引越し前の所在地の行政機関で、転出届を申請し、それを持って新しい住所の行政機関へ、転入届を提出する。
転入届が受理されれば、その地区の住民になったことが公的に認められ、住民票も手に入り、免許証やパスポート、会員証などの住所変更が可能になる。
自分の場合は転出届は普通にもらうことができた。これは当然だ。
がっ!
新しい引越し先の役場に、転入届を提出しにいった時の話だ。
住民も少ないし、これは早く受理されて、その他の手続きもスムーズに行えるだろう。そう考えていた。
しかし、書類を記入して手渡した後、10分待っても15分待っても一向に進展がない。
20分くらい待った後に、受付の女性に別の課へ案内されることになった。
そこは市民課とは全く異なる部署でいささかとまどった。
見ると、パソコン上に自分の山林の航空写真画像が映し出されている。
よく分からない番号が振られているし、自分の山林の土地(一筆)が二分割されている。
これはどうしたことだろう…。
年配の男性は、他の職員とは違った立派な椅子に腰掛けていたが、すぐに立ち上がって対応してくれた。
立派な椅子に座ってはいたものの、丁寧な対応は他の職員の方と変わらない。
交わした会話をそのまま書いていたら、かなりの長文になってしまうので、要約して書くとしよう。
「この土地は、地域の保安林で、無断では伐採ができません。
30日以上前に伐採届の提出が必要です。」
そんなことを言う。
いやいや、実はもう伐採はとっくの前に終わっていて、小屋も建ててしまっているんです。と説明。

(保安林の話はネットで調べた時は出てこなかった。
都市計画区域外なら自由に伐採したり、小屋を建ててもいいとネットには書いてあるし、不動産屋さんもそう言っていた。)言葉には出さないけど、こう思っていた。
もう小屋まで建ててしまったことを説明すると、仕方ないので、過去形の伐採を、未来形の伐採に変更して届出を出すことになった。
つまり、今から一ヶ月後に伐採するという届けを提出することになったのだ。
届けには現住所の欄もあるから、書類上では、まだ伐採されていない山林に住んでいることになってしまう…。笑い話だが、仕方ない。
とりあえずこうして、伐採届けの方は落着した。
そして、なぜ一筆の土地が二分割されていたのか?という問題だけど、これは役場での保安林の区分けと、不動産の登記の土地面積が異なるためだった。地主にとって特に意味のあることではなかった。保安林の管理上、植生か何かで分けたのだろう。
そして最初の市民課に戻ってきた。
そこで、伐採届が受理されることになったことを受付の女性に伝えると、今度は別の上司っぽい女性が出て行った。
そして、またしばらく待たされた。
おそらく、さきほどの部署に詳しい話を聞きに行ったのだと思った。
やっぱりどこの組織にも、白黒はっきりさせないと気が済まない人がいるのだろう。たぶん。
10分以上待った後に、戻ってこられて、今度は変なことを聞いてくる。
「電気や水道は通ってますか?」
もちろん、工事をしたので、通っていることを伝える。
しかし、それでも納得できないようで。
やっぱり「転入届は出せません」、と言うのだ。
「ちゃんと人が住める場所なのか、近いうちに見に行きます」。
こんな失礼な言い方ではなく、もっと遠回しな表現だったけど、直訳はこんな感じだった。
そして、住民票にしろ、他の手続きにしろ、この確認が終わらないうちは、できないということになった。
仕方ないので、帰宅して、山小屋のウッドデッキの屋根作りをしていたところ、例の役場の方が二人尋ねてきた。
一人はさきほどの上司の女性の方、もう一人は固定資産税の部署の男性だった。
山小屋を見て、役場の方はようやく納得してくれた。
どうやら小屋作りを始めたばかりで、基礎くらいしか出来ていないと思っていたそう。
「これなら人が住めそうなので、大丈夫です」と言ってもらえた。
そして住居確認が終わったので、今後は転入届けやその他の手続きにも入れるとのこと。
ようやく、納得してもらえた。
しかし、ここで別の話になる。
固定資産税の話だ。
人が住める家が建ってしまっていると分かった以上、固定資産税と見なされることになる。
そして、一つの土地内に小さくても小屋が建っているのならば、この山林全体が宅地になってしまう…と。

うわあ、これは「からあげ隊長の日記」ブログに書いてあったことだ。
地方自治体によって固定資産税の扱いは異なると言うけど、同じようなピンチに陥ってしまうのかあ…。
事前にリサーチしておいたおかげで、それほどショックではなかったものの、平静さを装いながらも、頭の中では打開策を考えていた。
壁を外すか…?
床をかさ上げするか…?
「分筆して登記してもらうことはできませんか? それが一番だと思いますが…」
「いやあ、別の県で似たような暮らしをされている方がいるんですが、その方によると、分筆するための測量で20万円くらいかかってしまうそうなんですよ」
小屋暮らしブログで読んだことをそのまま伝えた。
「分筆していただかないと、こちら(役場)で勝手に分けてしまうことになりますよ。」
えっ? 耳を疑った。
「役場でメジャーでもって、アバウトに分けてしまいますよ。そうなると面積がだいたいになってしまいますが…」
そんな打開策があるなんて。分筆に20万円支払うくらいなら、固定資産税の面積がメジャー算出でも全然いい。むしろその方がずっといい!
それでお願いすることにした。
「固定資産税のための確認はまだまだ先で、春先になりますので、それまでにどこまでを宅地にしたいか決めといてください」とのこと。
こうして、役場の方は帰られた。
ああ、良かったあ。
最初はどうなることかと冷や冷やしてしまったけど、最終的にはかなり良い結果となった。
今まではどこか罪人のような罪悪感を感じながら、行政機関に行っていたけど、これからは一人の一般人として認められたと、胸を張って生きられる。
おわり