外国人バイヤーに廃車を売った話

小屋暮らし

ある日、いつものように小屋作りをしていたら、突然声をかけられた。これまでにも何度か近隣のおじいさんに話かけられたことはあったので、てっきり地元の人だと思った。これまで声をかけてきた近隣のおじいさんは数人いた。今のところ、そこまで怪しい者だと思われてはいない…ように思う(笑)。




先人の小屋暮らしブロガーの人たちの失敗談を読むと、最初から色々内情を喋りすぎてしまうと、後々関係がこじれた時に大変になる、みたいなことが書かれていたので、相手の方との距離感は近すぎず遠すぎない方が良いのかなと、思った。




ちなみにこのブログを書いている時点では、人に何をしているのか聞かれても、

「この土地で小屋暮らししようと思ってます」

とは答えていない。

「アウトドアが好きなので、プライベートキャンプ場みたいに利用しようと思ってます。荷物置いたり休憩できるちょっとした山小屋を建てています。」

みたいに答えてる。

ただの山遊び目的の別荘代わりなのか、それとも永住目的なのかで、相手の構え方が分かってくると思ったからだ。

今のところは特に問題もなく、地域の人たちとの関係は良好だと思う。たぶん。というより、ほとんど交わりはなく、1ヶ月に1、2度、小屋の進捗を尋ねられたりする感じだ。


前置きが長くなってしまった…。

そう、そんな状況下で、突然アジア系の浅黒の男性外国人に尋ねられたので、驚いた。

「コンニチワ」

日本語は上手だった。30代くらいに見える。

名刺サイズのコピー用紙をラミネート加工された手作り感のある名刺を手渡され、それをみると、「○○株式会社 取締役社長 ×××」とある。後でこの会社を検索したら、東京にある家具屋で、他にも、同名で山陰地方にある中古車買取会社もあった。でも名刺記載の住所は群馬県内。

ちょっと、というか、だいぶ怪しい…。




外国人の話を聞いてみると、物置代わりに使っている廃車のステップワゴンキャンピングカーが欲しいとのこと。普通車は1万で買い取ってるけど、キャンピングカーだから2万で買いたい、と言ってきた。理由を聞いてみると、



「日本では古くなった車は人気がない。でも海外だと古くても日本の車は人気で高く売れる」と言う。

話す言葉が、タメ語8割、丁寧語2割って感じ。まあ日本語は難しいし、海外では初対面の交渉相手にタメ語で営業するのも普通なのかもしれない。




ステップワゴンキャンピングカーは珍しい個体だったので、状態が悪くても手放さずに、物置として使い続けるつもりだった。ただ、錆びて朽ち果てた時は処分に出すだろうし、その場合は処分費用が大変だ。売るつもりはないけど、とりあえず「一晩考えさせて」と答えておいた。



面白いことに、この外国人の方は、倒木にからみついている太いツルを見て、

「うわっ ヘビ!!」と日本語で驚いていた。

マッチョな人の上腕くらいの太さのツルだったから、

「そんなに太いヘビは日本にはいないよ」

と、安心させるように笑って答えた。

山林に革靴で来る人だから、きっとアウトドアはやっていないのかなと思った。



さらに、この外国人の方は、作っている最中の山小屋にも興味を持った。

「(総額)いくらくらいかかったの?」

現時点で60万はかかっているから、きっと完成にはプラス10万みといた方がいいので、

「70万」と答える。

「このドアいくら? 1万? 安いね」

と割と具体的に聞いてくる。

奥さんと子供がいて、群馬県の南東部に住んでいると言う。DIYでリフォームをしているとも言っていた。

そんな感じで初日の交渉は過ぎた。




このまま廃車を置いておくことのメリット・デメリットについて、一晩じっくり考えてみたところ、デメリットの方が大きい気がしてきた。


【このまま廃車を物置代わりに使用する場合】

◆メリット

・物置代わりに使える

・一時的なシェルターにもなりそう

◆デメリット

・物置と言っても、シート部分があるので、入れられる物の量はそう多くない

・時々ドアを開けて換気しないと、カビが生えそう。それが手間

・少しずつ錆びてゆく(廃車マニアにはたまらないだろうけど)

・車本来の使い方ではない

・最終処分に困りそう

・伐倒木により、助手席窓ガラスが破れていて、養生シートで応急処置しているけれど、長くはもたなそう




だんだん廃車を処分した方が良いような気がしてきた。ヤフオクで売る方法もあったけれど、その場合の輸送トラックの手配や、引き取りの手間、さらには車に関してど素人の自分が、ガタのきている車を売って、後々クレームをつけられたらどうしよう?という問題もある。走ると異音が出ていたし。



結局、翌日電話をして、売ることを伝えた。互いの都合がつく数日後に引き取りにきてもらう約束をする。


数日後、外国人バイヤーがやってきた。大型トラックで来たけど、道が細く通れるか分からなかったため、数百メートル手前に停めたという。



電話で「ステップワゴンキャンパーはバッテリーがあがっていてエンジンがかからない」と伝えていたので、代わりのバッテリーを持ってきてくれた。そしてバッテリーを交換しようとして、外国人バイヤーがエンジンルームを開けたら、なぜか枯れ葉のかたまりがある。子供のこぶしくらいのサイズだ…。(これは…もしや…)



外国人バイヤーがバッテリーを外そうとすると、黒い物体がピョンと跳ねる。



自分は横にいたから影のようなものしか見えなかったけど、正面にいた外国人バイヤーの人はモロに見ただろうね。



野ネズミだ!


しかもわりと大きかったと思う。



でもさすが、外国人バイヤー。特にたじろぐことなく、猫バンバンをして追い出そうとしている。


無事にバッテリー交換を終えて、エンジンキーを回す。

…しかし、エンジンはかからない。おかしいな。




「ネズミが配線でもかじっちゃいましたかね?」と言うと

「そうね。ネズミさんが…」となぜか、ネズミにさん付けしてた。





しかし、車が動かないんじゃどうしようもない。どうするか…と悩んだところ。

外国人バイヤーがユンボで引っぱる案を言い出した。


ちょうど運良くユンボがあるし、伐採時に使ったチルホール用のワイヤーもある。ユンボのバケットの爪にワイヤーの輪をかけてバックで引っ張った。この方法は外国人バイヤーに教わった。


ユンボに牽引されながら、ステップワゴンキャンパーがゆっくりと斜面を降りてゆく。ステップワゴンキャンパーには外国人バイヤーが乗り、ブレーキで降りる速度を調節。




これが、この方法がまさかまさかの、オールライト! 一発OK。

問題なく大型トラックの近くまで、引っ張ることができた。あまりに簡単過ぎて拍子抜けしたくらい。



1tのユンボにこんな力があるなんて。しかもバケットの爪二つにワイヤーを引っ掛けただけなのに。(途中から爪一つにかかってた)


外国人バイヤーのアイデアには驚いた。それともユンボでは一般的な使い方なのかな? とにもかくにも新鮮なことばかりだ。





その後は、外国人バイヤーの方が大型トラックの付属のワイヤーで、ステップワゴンキャンパーを引っ張ってゆく。クレーン車ではないけれど、トラックの荷台に引っ張る機構が搭載されてるタイプ。


その間、自分は、頼まれてトラックのブレーキを踏んでいた。(緩傾斜面でトラックが動かないようにだと思う、たぶん)




最初はトラブル続きだったけど、最終的には無事にトラックにステップワゴンキャンパーを載せることができた。





そして、肝心の価格の話。




外国人バイヤーが、お札を渡してくる。千円札が見えたので、これはサービスで2万数千円にしてくれたのか、うししと、期待して数えてみると、1万5千円。



ん〜、確かに2万円と言ったのは、ステップワゴンの状態を見る前、助手席窓ガラスが割れているか分からなかった時だったけど、ダメ元で交渉してみよう。



「2万円だと思ってたよ。」


一瞬、困った顔をする外国人バイヤー。




そこで、3千円プラスの1万8千円を提示してくる。




2万円ではないけれど、ステップワゴンキャンパーの状態は悪いし、ここで手を打った方が良いと感じた。取引というのは、お互いに譲歩した方が良いと思ったからだ。



1万8千円で了承すると、感謝された。



そして、今後車を安く買いたい時があったら、知らせてくれれば、安く売りますとのこと。





それから、車検証(廃車証明書)が欲しいというので、あらかじめとっておいたコピーを渡そうとしたら、原本が欲しいという。原本を渡して良いのか判断がつかなかった。外国人バイヤーが言うには、手続き上原本が必要だと言うけれど、原本を悪用されないかの心配もあったためだ。無知は警戒につながってしまう。





とりあえず、原本は渡すことにした。


しかし、用心をしてツイッターやブログにアップしたいから、顔写真を撮らせて欲しいとお願いすると、頭を振って断られ「心配しなくても大丈夫。安心して」みたいに言われた。こちらが警戒していることがバレてしまったようだ…。



最後に、嫌な思いをさせてなければいいが…。いや、でも用心するのは海外では当たり前のことのような気もするし、う〜ん、わからん。どうせ取引に正解などないだろうし。





とりあえず、こんな感じで廃車を売った。最後に疑ってしまったことの埋め合わせに、大きく手を振って見送った。




これが、外国人バイヤーに廃車を売った話の顛末。


個人的な印象としては、あまり警戒しすぎずに、使っていない廃車があるなら、売ってみていいのではと感じた。

今回の大型トラックは2tトラックだったのか。

自分でも運転できるな(免許上は)。



おわり

コメント

  1. サイゾウ より:

    油圧ショベルには、クレーン仕様があります。
    だから、ユンボでもクレーン的な使い方や、牽引はある程度出来るはずです。 

    • harappa より:

      さっそくのコメント、ありがとうございます!
      ユンボはまさか、バケットの爪2本(最後はずれて1本状態)で牽引できるとは思わなかったです。
      傾斜地だったのも良かったのかもしれませんね。

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